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【小説】川風の約束 ―氷室の口笛―

「期間未定」の貼り紙に揺れる町家。和菓子職人・翠と写真家・空は、風で鳴る琥珀糖を武器に人の輪を呼び、町と恋の行方を光で決めていく。
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【小説】死角の設計図

第1章 火の匂いの商店街 秋の夜は、からっ風の代わりに溶剤の匂いで頬を刺す。駅前アーケードでは、再開発の仮囲いが半分外され、鉄骨がむき出しになった天井から白い養生シートが垂れている。百目鬼恵は、学校から借りた一眼を首から下げ、シャッター通り...